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最新情報

2009.3.25
黒柳先生が日本創傷治癒学会理事長に就任されました

日本創傷治癒学会理事長就任のご挨拶

黒柳能光(NPO法人創傷治癒センター監事)

この度、伝統ある日本創傷治癒学会の理事長という重い職務を工学系出身の私が仰せつかることになりました。ここに、私の研究人生の礎となった創傷治癒との関わりを交えてご挨拶をさせて頂きます。

『傷はどのようにして治るのか?』、『傷はどのような場合に治らないのか?』 ----このような疑問を解明する学問が創傷治癒です。ここで得られた知見を基にして、『傷はどのように治せるのか?』という挑戦が始まります。創傷治癒過程において、細胞、細胞成長因子、基質がプログラム通りに機能すれば傷は治りますが、機能しない場合には傷は治りません。そこで、研究者達は、プログラム通りに機能するように工夫をします。新しい医薬品や医療器具の研究開発のヒントは、実は、創傷治癒の機序を解明する基礎研究の中から生まれます。まさに、創傷治癒の一連の事象は、医療分野の研究開発におけるアイデアの宝庫といえます。私が、創傷治癒という学問に魅了され、そこで得られた知見を材料設計に反映させて人工皮膚の研究開発をするようになった始まりは北里大学形成外科に移籍した25年前に遡ります。その当時は、医師の枠を理工系の研究者に与えるのは国内では極めて希なケースであり、形成外科初代教授塩谷信幸先生の斬新なお考えにより、私の実践的な研究がスタートしました。

近年、注目されている再生医療は、組織工学を基盤としています。組織工学のキーワードは、「細胞」と「細胞成長因子」と「生体材料」です。植物栽培の3要素に例えると、「種子」と「養分」と「土壌」に対応します。その種子が花を咲かせ果実を付けることが重要です。基礎研究成果を臨床研究に展開して最先端医療を確立し、次に、通常の医療として普及させることが望まれます。最先端医療の確立は『花』であり、通常の医療として普及させることが『果実』 です。基礎研究として『interesting』に満足するのではなく、臨床応用のために何が『important』であるかを強く意識して結果を出すこと、すなわち『果実』を患者さんに提供することが求められます。これこそが、医療の現場で培われた私の研究姿勢です。

幅広い分野の研究者達の新しい挑戦により、新しい医療の確立と普及が可能になります。その情報交換の場を提供することが日本創傷治癒学会の使命と考えております。これらの科学的な最新情報を傷に悩む多くの人々にお伝えすることがNPO法人創傷治癒センターの役割と考えております。今後も、創傷治癒の魅力を多くの皆さんと一緒に共有していけることを希望しています。

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