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下腿潰瘍

人間の下肢の下三分の一(ふくらはぎより下の部分)は、もともと血の循環が良くない部分なので、普通の傷でも治りが遅くなります。

 

そこに静脈瘤や動脈血行不全などが加わると、わずかの怪我でも感染をおこし、悪化して難治性潰瘍になる場合があります。これが老人に多い下腿潰瘍です。

糖尿病の場合はもうすこし複雑ですが、やはり血行不全と感染が主な原因で、潰瘍がしばしば足の指から始まり、最悪の場合は足全体を切断することにもなります。

静脈瘤、動脈性潰瘍、そして糖尿病による下腿潰瘍について簡単に説明します。

静脈瘤

人間の下肢では、立ったときに静脈血が下向きに逆流しないよう、静脈の所々に弁がついています。
長時間立ったままの職種の人や、妊娠を繰り返した人では、静脈が拡大して逆流防止の弁が完全に閉まらない状態になることがあります。
こうなるとますます逆圧がかかり、それが悪循環となって静脈系全体が膨れてきます。これが静脈瘤です。
静脈瘤がひどくなると、まず足にむくみが来て疲れやすくなります。
更に進行するとくるぶしの上の内側の皮膚が崩れてきます。
これを鬱帯と言いますが、まず第一にすべきことは足を上げて静脈の還流を促すことです。弾性のある靴下(エラスティックストッキング)を穿くことも治療の一つです。
初期の場合はこれだけでよくなりますが、慢性になると静脈を取り除くストリッピングという手術が必要になります。(以前は薬剤で怒張した静脈を潰して塞ぐ治療が行われていました。最近薬剤が改良されて復活したようです)
これでも潰瘍が良くならないときは、潰瘍面に皮膚の移植をおこないます。
慢性化した潰瘍は、底面の組織が瘢痕化して繊維組織が密で血行に乏しく、そのままでは植皮のつきがよくありません。これ状態を不良肉芽とと呼んでいます。

動脈性潰瘍

動脈硬化や別の動脈の病気で、動脈が詰まることがあります。
動脈が詰まるとそれより末梢部分には十分に血液が供給されなくなり、皮膚障害を起こすことがあります。
この場合は、静脈性の疾患と違い、ごく末端の足指の先端が壊死することが多く、その場合は切断しなければなりません。
しかも十分に血行のある部分で切断しないと傷が塞がらないため、壊死した部位よりもかなり上のところで切断することになります。
最近はドップラーと言う器械で、どの部位のどんなに細い動脈でも簡単に血流を測定できるようになりました。
閉塞が見つかると、通過障害を取り除く手術、人工血管で置換する手術、閉鎖部をバイパスして人工血管をおく手術などをおこない、血流を回復して潰瘍の進行を食い止めます。

糖尿病性潰瘍

糖尿病で足に潰瘍が出来るのか、と思われる方も多いのではないでしょうか。
実は潰瘍だけでなく、足指を切断せざるを得ないことさえあるのです。
糖尿病はすい臓のインスリン分泌に異常があり、血糖値のコントロールがうまく行なわれなくなって、白内障、神経疾患、感染など、全身に影響をあたえる恐ろしい病気です。
その症状のひとつとして、末梢動脈の硬化や閉塞があります。
さきほどの動脈性潰瘍と同じように、足の末端の血流が不足して潰瘍が引き起こされ、最悪の場合は組織の壊死に至ります。

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